VOICE
今回「実家じまい・墓じまい」を経験し「てのひらぼせきIL(イル)」をご購入いただいた岡本さん(仮称)に、その購入動機や購入後の心情など、貴重なお話をお伺いしてきました。
ぽっかり空いた心。
SMOW:今回、「てのひらぼせきIL(イル)」を、一番初めに「なんかいいな」って思ったはいところってどんなところでしたか。
岡本さん:私の場合、タイミングがバッチリというか、こういうの本当に欲しかったっていうタイミングだったんで。
実家じまい、お墓じまいしてしまうっていうタイミングで、何か接点がなくなったっていうところに、この「てのひらぼせき」が自分のところにあると、救いって言ったらあれですけど、本当に「こういうのに出会えてよかった」っていうような感覚だったんです。
SMOW:今、「実家じまい」「お墓じまい」という、言葉がありましたけど、やっぱり、大きなことですよね。
岡本さん:そうですね。大阪から静岡に嫁いできて、地元を離れ20年近く経ち、年に2〜3回ぐらいしか帰ってなかったんですけど、それでも、実家はそこ(大阪)にあったんで、実家のある安心感があったんです。それが、本当に、ふっとなくなってしまったっていう時の、 あっけない虚無感がありました。そこを「てのひらぼせき」に埋めてもらうような気持ちでした。
SMOW:今回、タイミングっていうのもあり、ちょうどこの「てのひらぼせき」が、そのぽっかり空いた心を、埋めるものとして、合致した感じなのかなと。
岡本さん:本当に、そうですね。父と母の形見とか、実家のものとかを、貰って帰ってきてはいますが、それとはまた、やっぱり違う感じがしていて。いわゆるお墓と同じ石でできていますし、直接、父と母とか、家を思い出すというより、ふるさとに思いを寄せるみたいな感覚が私にはあって。
SMOW:そうかもしれないですよね。日常の中で近いものになりすぎちゃうと、気持ちが重たかったりする部分とかあったりするんですけど、 それよりも、こちらから気持ちを積極的に向けられるもの、それがお墓であり、お墓ってそういう場所だなと思っています。お墓ってわざわざ行く場所だったりするんですよね。なので、例えば、大切にしていたコップを飾り、そこに対して故人を想うっていうこともあると思うんですけど、やっぱりそれはお墓の代わりにはならない。お墓は、わざわざ行くのもそうだし、この「てのひらぼせき」も、石をわざわざ加工して作るっていうこと自体に、気持ちが向きやすくなるのかなって思っています。
岡本さん:いや、まさに、そうですね。
丁度いい距離感。
SMOW:今は、どんなところに飾っているのですか?
岡本さん:今は玄関です。玄関入ってすぐにある棚の上です。いろんなお気に入りのものと一緒に置いてあって。なので、家に帰ったら最初に目に入ってきて、「ある、ある」と毎日確認しながら家に帰ってきます。でも本当に「どこに置こうかな」ってすごい結構悩んで。最初はみんなのいるリビングもいいかなと思ったんです。でもリビングだとちょっと近すぎるかなっていう感じがして、そこで、いつも目に入るんだけど、近すぎないところで、玄関に置いてあります。
SMOW:そうなんですね。もしかしたら、その距離感っていうのも、その時々で変わる感じあるかもしれないですね。
岡本さん:私の場合、間取りの都合もあり、今は玄関ですが、違う間取りだったら置き場所変わってくるかなとか思ったりはします。
でも、それぐらい移動しやすいっていうのも、「てのひらぼせきIL(イル)」の良さだと思います。
SMOW:ありがとうございます。コンセプトのひとつとして、お墓だけど、身軽さみたいなものを大事にしています。実際、購入された方の中には、思い出の場所に行く時に持っていきたいと。持ち歩けるし存在感もある所を気に入っていただいた例もあります。本当にそれぞれの状況とか、その時の気持ちによって、距離感を変えられるお墓になってます。
岡本さん:確かに、なんか気持ちの大きさと、物のその大きさが、ちょうどいい感じがします。石で出来ている、そのちょっとした「ずっしり感」が、自分の思いと丁度いいバランスの感じがしました。
SMOW:ありがとうございます。
岡本さん:もう形もなんかちょうどいい。感じがします。
伝わる温もり。
SMOW:そうですね。大きさとか形とかはこだわった部分です。こだわった理由として「てのひらぼせきIL(イル)」では、てのひらで墓石を包み込んで故人を偲ぶ供養の形を提案しています。石の質量感を故人の存在感として感じてもらい、五感で偲んでもらいたくて。実際に触れてみての感想をお伺いさせてください。
岡本さん:本当に手に馴染む感じがあります。手に持ってると、じんわり温かくなってくる、その温かみと自分の気持ちがリンクするように墓石に入っていくような感じがします。
今までお墓って触らなかったなと。私の実家のお墓とかも触ることはなかったなと思って。でも今回、実際手に取ってみて、伝わるものがあると感じました。
持ってる時間と自分の思いが重なって、その分、温かさが想いとなって伝わっていくような。それがすごくいいなと思います。
SMOW:うん、なるほど。
岡本さん:石の種類が3種類あって、私は「磐梯みかげ」を選んだんですが、今まで自分が馴染んできた実家のお墓やお墓参りの風景にリンクして、やっぱりこれがいいなと思いました。他の種類もすごい可愛かったんですけど、色がピンクとかで。
SMOW:やっぱりそこって、自分が今まで手を合わせてきたものと、リンクする部分ってあるのかもしれないですよね。
岡本さん:お墓や実家がなくなって寂しかった部分を、手元にもう1回とどめておきたいってところがあったんで、やっぱり「磐梯みかげ」が1番よかったです。
SMOW:墓じまいをしてから選ぶってなると、やっぱそれに近いものを選んだりするのかもしれないですよね。
実際、石を選んでいただく時、娘さんも一緒にきて、触れながら選んでいる様子を見ていて、とてもいいなと感じました。
ひとつひとつが職人の加工による手作りなので、微妙な個体差によって、世界で1つのものをそれぞれにお渡ししてるような感覚っていうのは感じてもらえたらいいなと思っています。
岡本さん:3つとも触った感じは全然違いました。
SMOW:想いを向ける場所として大事な事かもしれません。様々なものが簡素化されていく中で、お墓にもその風潮があり、ただ、そこに思いを向けやすいものって何かって考えてもらうことが大事だと思っています。
岡本さん:私も今回、その立場になって、お墓がないと心細いというか、不安というか…
お墓ってご先祖様に感謝したりするところじゃないですか。それが無いっていうのはあり得ないなと感じました。
物として感謝を向ける場所があることは大事ですね。お墓がある理由を知った気がします。
SMOW:その言葉って、すごく重みがありますね。やっぱり自分が「お墓がなくなる」その立場になってみないとわからない気持ちですよね。世の中の風潮として、迷惑かけたくないからとか、後の人のことを考えてなどの優しさから「墓じまい」される方も多いですが、実際、残された人にとってみては、何かしら想いを向ける場所ってあった方がいいって、どっかで実感してくる部分ってあるのかもしれないですよね。
岡本さん:何にもなかったら、感謝する気持ちってを失くしちゃうと思ったりするんですよね。なんか忘れちゃうなって。
でもそれは、ちょっと嫌だなと思ったので。
SMOW:確かに、感謝したいっていう瞬間ってありますよね。何か報告したいとか。その時に「どこに向けたらいいんだろう」っていうよりは、「ここ」があるっていうだけで、日常の中で、安心感があるかもしれないですね。
岡本さん:これ、「IL(イル)」って名前は、そういうことですよね。「そこに居る」「想いを向ける場所がある」、そういうことですよね。
SMOW:そうなんです。日本人って「いないけどいる」感覚を持てる、想像力豊かなのが日本人だなと。お墓参りはもちろん神社での初詣なんかも。この「てのひらぼせきIL(イル)」は、その日本的な意味も込められています。
岡本さん:本当にもう、私にとって「ふるさと」がこれなんですけど。例えば、お父さん、お母さんみたいな感じで、いくつかお家にあるってこともいいと思いました。
SMOW:そういった意味では、ここに故人のお骨が入るかもしれないし、ペットのお骨かもしれない。また実家の土を入れて、ふるさとになるっていうのもあるし。皆さんが新しくそれぞれの使い方をしていただくことで、新しいこの「IL(イル)」の存在価値が出てくるなって思ってますね。
自分のルーツに想いを向ける。
岡本さん:私にとっては、「IL(イル)」ふるさととの接点です。
特に実家が何百年と古くから続く家で、「実家じまい、墓じまいしちゃうんだ」ってなんとも言えない気持ちがあって、
私は、嫁いで遠くに来てしまったので、なんか本当になくなっちゃったなっていう感覚がすごくあったタイミングで
「IL(イル)」に出会えたので、本当によかったです。
SMOW:ふるさとを感じるっていうのは、なんかすごくいいですね。
「ふるさと」って大事ですね。
岡本さん:絶対大事です。無くなったら「私のルーツってなんだったんだろうか」っていうことを考えるぐらいですから。
SMOW:自分のルーツって、その土地だけじゃなくて、自分の両親もご先祖さんもルーツですからね。そうすると、ある意味、ルーツを感じる場所を作るっていうのが、もしかしたら、お墓の本質的な部分なのかもしれないなって、思いました。
岡本さん:確かに。
SMOW:今回は貴重なお話、ありがとうございました。